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11月18日

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安倍首相は年末に衆議院の解散総選挙をするとか。今でも過半数を牛耳る与党が何の意味があって選挙をやり直すのか知らんが、たいした自信だね。

 

とはいうものの、安倍のこの2年のやりたい放題な政権運営を見せつけられても、安倍を支持する日本人は未だに多いそうだから

与野党逆転なんてことはおきないだろうと私も思っていて、こんな文章を書く意味があるのか煩悶するが、

数年後、数十年後にやってくるだろう安倍政権のツケにより,世の中がもっと悲惨なことになった後に後悔しないために今、最低限のことは言っておきたい。

 

第2次安倍政権の2年は、日本の経済力を安直に回復傾向に向けるために、もっとも強い大企業をさらに優遇する政策ばかりだった。

円安を誘導し、法人税を軽減した。

最も税金を払っている所が増収増益になれば、国への税収も手っ取り早く増えるだろうが、これは格差増長の政策でもある。

格差が開くことと、治安が悪くなることはパラレルである。

オレオレ詐欺や脱法ドラッグなどに手を染める人間も増加した。自分で稼げなければ他人から奪う、という発想へ流れる易き心は少なくなかろう。

 

しかし、ここに至っても安倍を支持する国民の多さにはうんざりする。

手っ取り早く、目先の金儲けができる政府がいい(そのツケが未来に負担となろうとも)と多くの国民が思っているから彼は支持される。

「水は低きに流れ、人は易きに流れる。」という言葉を実感させられる2年だった。

百歩譲って、輸出で儲ける大企業や国家公務員、株取引に血眼になっている人たちが、安倍を支持するのは当然だとは思う。

消費税という国民全体から均質に取りたてる税についての増税が議論されているときに、分配が不平等で、優遇されている人たちにはありがたいだろう。

 

安倍もその心理につけこむように金をジャブジャブ刷り、円安を煽り、輸出で儲ける納税額の多い大企業を優遇し、まるで官営企業のようだ。

しか日本は1990年くらいを境に、製造業よりもサービス業に就く人の方が多くなっているそうだ。

いまや、円安と輸出で得をするのは国民の一部に限られる。

 

むしろ私のような低所得者層は、円安のデ・メリットをくらっている。

かつて安かった輸入品の食品など日常品の高騰が人災であることにうんざりしているのだが、

安倍はナショナリズムを餌に、この低所得者層からも支持を釣り上げているようだ。

中国の脅威論を声高に宣伝し、国家増強に、太平洋戦争時さながらの低所得者も鍋釜差出せ、と言わんばかりだ。

こんな安い餌で安倍支持にまわる国民が増えるのも実に嘆かわしいことと思うけれども。

 

今のまま消費税を10%にあげた後の選挙は必ず負けるだろうから、ヤクザな政策(金の増刷、年金基金の株式投入など)で株価が上がって、

政権を支持する人たちがまだ多い今のうちに、あと4年の首相の権力や与党の議席を確保しよう、という魂胆以外に

今回の解散総選挙の目的はありはしない。

 

国民に対する情報開示拒否も、私が安倍政権が戦後最悪の政治家だと思う原因である。

秘密情報保護法案は国民の眼から、政治家を批判する材料を取りあげるのが目的だし、NHKに自分のお友達を会長や理事職に送り込み、

NHKのニュースはすでに事実上、安倍政権の宣伝番組と化している。諸番組でも政権批判する人物もゲストに招かれなくなった。

作られる特集番組も日本文化の自画自賛の内容ばかりになって、私はいまでは天気予報と岩合さんの猫番組くらいしかNHKは見なくなった。

今回の解散劇は、安倍が「自分がメディアを握っている」という自信があるためと思う。

 

民放も放送免許の更新の権利を国が握っているため、表だっての政府批判ができず、今の日本は、首相や政府の問題点を隠ぺいする側に回っている。

国民は国民で、知りたくない情報には耳をふさぎ、自分に好ましい情報だけを受け取る傾向が強まっていて、

まるでかつての戦時中の「鬼畜米英」のような「中韓嫌悪」の風評が幅を効かせている。

(自分ではない)誰かを、あるいは何かを貶めることによってしか、自分のプライドを維持できない日本人の増加は目に余るが、

国のトップの人物が、そういう言動を日常的にする男なのだから仕方がないか・・。

 

しかし、一方で円安で燃料費が増大するから、という理由で、危険があろうと原子力発電所の再稼働を急ぐ。

原発を再稼働するために、安倍は原子力規制委員会でも日銀同様、トップの首を自分の言うことを聞く人物に挿げ替えた。

福島原発の廃炉や汚染水問題についての情報は安倍政権になってからほとんど出てこなくなった。

NHKもほとんど報道することはなくなり、原子力災害についての意識が薄くさせられている。

政府は「臭いものには蓋」で、国民も「嫌な現実は知りたくない」という心理の両方の力学が働いているように思う。

 

とはいえ、「自分の言うことの聞かない人物を次々と更迭して、傀儡に置き換える」なんて政治手法を当たり前に行うのは

民主主義国家ではありえないことで、この国は独裁国家になりかかっているのだが、国民にはその危機感はあまりないのが不思議でならない。

 

中国のPM2.5についての報道を盛んにやるのも結構だが、アメリカ西海岸に福島の放射性物質が漂着したことのほうが、

地球全体の問題としてははるかに大きかろう。

 

「見たくないものは見ない、知りたくないことは聞かない、何かの問題がおきたらその原因は自分でない誰かのせいだ。あいつが悪い、あの国が悪い」

こうした思考を当たり前のようにする、論理的でない(ただ感情的な)日本人が増大している先に明るい未来はやってこない。

自分の良い部分を認識することも大事だが、ダメな部分にも向き合い改善していく努力、異なる価値観の人達とも理解し合う姿勢無しに

問題をただ先送りにするだけでは敗戦の時のような悲惨な現実を突き付けられる事態を避けることはできない、ということに警鐘を鳴らすためにも

今度の安倍自身の意思による解散総選挙では、日本の未来を憂う一国民として安倍政権にお灸をすえるべきだと願ってやまない。